連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-29
フェルトさんのいる、守備隊の本部にやってきたのは、普通っぽい感じの、中年の男の人だった。リオネルさんに連れられて、フェルトさんとアリオンお兄ちゃんが受付まで行くと、慌てた感じで口を開いたんだ。
「あの、あなたがフェルト・ハルキス様ですか? その、ちょっと問題が起こりまして、一緒に来ていただきたいんです。わたしは、〈野ばら亭〉に出入りしている馬丁なんですが、急ぎでハルキス様をお連れするように、〈野ばら亭〉のご主人に頼まれまして」
「わたしは、今朝も〈野ばら亭〉から出勤して