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連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 4-27

おそれ多くも〈巫覡ふげき〉が対の御装束おんしょうぞくにて、この度の神前裁判を御照覧ごしょうらんになられますこと、我ら神職一同、生涯のほまれと感じ入ってございます」
 
 神霊庁が誇る七人の神使しんしの一人、神前裁判で重要な役割を務めるらしい、クレメンス・ド・マチェク様は、そういって深々と頭を下げた。他の誰でもない、十四歳の平民の少女であるチェルニ・カペラに。
 わたしも、急いで礼を返したんだけど、頭の中は、クレメンス様の言葉でぐらぐらしていた。だって、わたしと、レフ様が、お揃いっぽい装束で、沢山の高位貴族が傍聴しているだろう神前裁判の場に、揃って出席するみたいなんだよ。
 
 わたしが、ぐらぐらになっちゃった理由は、ちょっと説明がむずかしい。緊張はするとしても、レフ様に会えるのは、すごくうれしい。うれしくって、うれしくって、仕方がないくらい。いきなりの大舞台おおぶたいで、〈神託しんたく〉として扱われることにも、覚悟はできると思う。神前裁判の進行そのものは、あんまり心配していない。すべてを神霊さんに委ねて、信じていれば良いんだから。
 では、どうして動揺しているのかというと、予感がするんだと思う。何の根拠もないし、今まで考えていたわけでもないのに、〈神秤しんしょう〉の印を持つクレメンス様と、目が合った瞬間、き上がってくる思いがあったんだ。ああ、ここが分水嶺ぶんすいれいなんだなって……。
 
 わたしとレフ様の共通の愛読書である、〈騎士と執事の物語〉っていう本の中に、有名な一節がある。暗殺者に襲われた王子様を守って、片腕を失った騎士が、王子様から〈執事になってほしい〉って、懇願される場面。執事の仕事ができるとは思えないからって、何度も断っているのに、とうとう説得されちゃったときに、騎士がいうんだよ。
 〈この後の人生で、わたくしは、何度も思い返すことでしょう。殿下の説得に負けてしまった、今日、このときこそが、我が人生の分水嶺であったと〉〈一度ひとたびわかたれ水は、決して元には戻らぬもの。命ある限り、わたくしは、殿下の御為おんために流れ続けましょう〉ってね。
 
 不思議に澄んだ心で、わたしは思った。今回の神霊裁判は、〈神託の巫〉として歩き出す、わたしにとっての分水嶺。ルーラ元大公を告発して、大公家を継ぐことになるだろう、アリアナお姉ちゃんとフェルトさんの分水嶺。ルーラ元大公と関係する、たくさんの貴族たちの分水嶺。何故か、必ず傍聴するはずだって確信できる、王太子殿下の分水嶺。そして、何よりも、ルーラ王国にとって、二度と訪れないほどの、大きな大きな分水嶺になると思うんだ。
 気配を消したまま、腕の中にいるスイシャク様と、肩の上のアマツ様は、何もイメージを送ってこなかった。ただ、ほんの微かに、鈴の音が聞こえたような気がするのは、きっと間違いじゃないんだろう。
 
 いつの間にか、ちょっと呆然としちゃったわたしに、深い眼差しを注いでいたコンラッド猊下げいか……ミル様が、静かにいった。
 
いとけなひなにして、天上の御業みわざに近づきし〈神託の巫〉。ルーラ王国の宝珠ほうじゅたるチェルニ・カペラ様」
「……何ですか、それ。そんなふうに呼ぶんなら、わたし、ずっとコンラッド猊下とオルソン猊下って、呼び続けますよ? ミル様とか、ヴェル様とかって、絶対にいいませんよ? 礼儀の本のお手本みたいな感じで、対応しちゃいますよ?」
「ほほ。相変わらず、楽しいことをおおせになるお嬢様ですね。けれども、先ほどは、チェルニちゃんと呼びかけるのも、はばかられる状況でございましたからな。そうであろう、パヴェル?」
「猊下のせいで、いったい何回、チェルニちゃんに叱られますことやら。たいがいになさいませ。まあ、先ほどは、致し方もございませんでしたけれど。あのね、薄っすらとですけれど、神々しく光っていたのですよ、チェルニちゃん」
「……光ってましたか、わたし?」
「ええ。ぴかぴかと、発光していました」
「誠に、ありがたきことでございますね。さて、チェルニちゃんも、さすがに理由なく発光したりはなさらないでしょう。何か、御神託がくだったのでございましょうか?」
「神託……というほど、はっきりとしたものじゃなくて……どっちかっていうと、単なる予感じゃないかと思うんですけど……」
「《神託の巫》でられる御方の予感とは、すなわち、御神霊からの言霊ことだま照応しょうおうに他なりません。かしこみ、かしこみ」
「すみませんが、いってる意味がわからないです、ミル様。十四歳の少女にわかる言葉でお願いします」
「ほっほっほ。いつもながら、チェルニちゃんの、素直で愛らしきこと。つまり、〈神託の巫〉であるチェルニちゃんには、意味のない予感などはなく、すべてが御神霊の言霊と影響し合っている、という意味でございますよ。差し支えなければ、チェルニちゃんの予感を、我らにもお教えくださいませ」
「……分水嶺っていう言葉が、浮かんできたんです。今回の神前裁判が、わたしやアリアナお姉ちゃん、たくさんの貴族の人たちや王太子殿下、そして、ルーラ王国にとって、大きな分水嶺になるだろうって」
 
 わたしが、そう口にした瞬間、はっきりと部屋の空気が変わった。誰も、何も答えようとしないのは、もちろん、無視されたわけじゃない。わたしの言葉にこもっていた、自分でも理解できない力……例えるなら、神霊さんの息吹いぶきとでもいうべき気配が、部屋にいる人たちをからめ取ってしまったんだろう。
 わたしは、思わず、腕の中のスイシャク様を、ぎゅっと抱きしめた。優しいスイシャク様の温もりと、ふくふくとした柔らかさに、ほっと息をいたところで、肩の上のアマツ様が、ふわりと音もなく飛び上がった。〈雛の補佐をば致すらん〉って。
 
 羽ばたきもせずに、空中に浮かんだアマツ様は、いつものお姿じゃなかった。両手に抱えるくらい大きくて、身体は宝玉みたいに美しい真紅で、羽の方にいくに従って、少しずつ色味が変わっていく。真紅から赤、赤から薔薇、薔薇から朱、朱から金へ。アマツ様の羽先は、ぱちぱちと鱗粉を振り撒きながら、金色に燃え盛っていたんだ。
 それまでは、完璧に存在感を消していたから、高位の神職さんたちでも、スイシャク様とアマツ様の気配を感じられなかったんだろう。突然、部屋の中央に顕現けんげんした、あまりにも圧倒的な神威しんいに、コンラッド猊下でさえ、わずかな身動きもできず、呆然とアマツ様を見つめているだけだった。
 
 アマツ様は、声であって声でなく、音であって音でなく、深く魂を揺さぶられずにはいられない尊い言霊で、こう告げた。
 
〈雛が告げたる言霊は 人への慈悲に他ならず〉
現世うつしよで 《神霊王国》とぞ呼ばれたる らの住まいしこの国は 裁きのをば選びたる〉
しかして此度こたびの裁きこそ 雛の告げたる分水嶺〉
神去かみさる国を望むれば 神去かんさとどむる道はなく 人は人の世 神は神の世〉
〈現世に 神の残せし一雫ひとしずく 王国の行く末選ぶる契機けいき也〉
〈水の流れの変わるらん 神る国の分水嶺 神無き国の分水嶺〉
〈天津神たる一柱ひとはしら 神名□□□□□□□□□の言霊也〉
 
 どこからか聞こえてくる、荘厳そうごんな鈴の音と一緒に、アマツ様の送ってくれたイメージが、わたしにも、部屋にいる人たちにも、深々しんしんと染み込んでくる。それは、二度と忘れることなんてできないだろう、重い重い言霊だった。
 
 気がつけば、圧倒的な神威をまとって顕現していたアマツ様は、そのお姿を消していた。わたしの肩の上には、真紅の可愛いアマツ様がいて、小さくてすべすべした頭を、わたしの頬にこすりつけている。怖いほどに尊かった、さっきまでのアマツ様じゃなく、わたしがよく知っている、わたしの大好きな、いつものアマツ様だよ。
 コンラッド猊下は、大きく息をき出してから、ゆるゆると頭を振った。ヴェル様は、微かに震える手を握りしめて、上下に肩を揺らした。お父さんとお母さんは、しっかりと抱き合ったまま、目を見合わせた。パレルモさんたちは、青い顔をしたまま、石みたいに固まっている。高位の神職さんにとっても、さっきのアマツ様の言霊は、簡単には受け止め切れないものだったんだろう。
 
「何と、畏れ多いことでございましょう。浅学非才せんがくひさいのわたくしにも、尊き御神霊の御神託の巨大さが、身に染みましてございます。《神託の巫》たる御方様おんかたさま御言葉みことば通り、此度の神前裁判は、歴史的な分水嶺となりましょうな。我がルーラ王国だけでなく、すでに神々が去られて久しく、神霊術に代わって魔術が世を支配する、他国にとっての分水嶺に」
 
 わたしたちの王都の家の応接間に、コンラッド猊下がつぶやくように口にした言葉が、静かに響いていったんだ……。
 
     ◆
 
 それからは、むずかしい話にはならなかった。あまりの言霊の重さに押しつぶされて、沈黙しちゃったわたしたちを、お母さんが力強く励ましてくれたんだ。〈いずれにしろ、すべては御神霊がお決めになられますわ。わたくしたちは、御神霊への感謝を忘れず、美味しいお菓子を食べましょう〉って。
 わたしの大好きなアリアナお姉ちゃんは、突然、好きな人が大公家の後継になっても、びくともしない大物だけど、そういう豪胆ごうたんなところって、お母さんに似たんじゃないのかな。お揃いのエメラルドみたいな瞳よりも、〈不屈ふくつ〉っていいたいくらいの心の強さとか、迷いのなさとかっていうものが、お母さんとお姉ちゃんは、そっくりだと思うんだ。
 
 お母さんの提案に、大きくうなずいたお父さんは、すぐにお菓子を用意してくれた。コンラッド猊下……ミル様たちが、うちに来るってわかっていたから、お父さんとルクスさんが、腕を振るってくれていたんだ。午後になって、ちょうど小腹が空いてくる頃だったから、種類も量もすごかった。
 お菓子は、秋の果物を、これでもかっていうくらい、ふんだんに使ったもの。自然な甘さが絶品の柿のプリンに、甘酸っぱいりんごを焦がしバターで焼いたタルト、生クリームを金色の栗のペーストで包んだモンブラン、お酒の風味を利かせたいちじくのコンポート、りんご入りの濃厚なチーズケーキ、爽やかなマスカットのミルフィーユ、すだちの香りを生かした梨のゼリー……。
 甘いものばっかりだと飽きちゃうから、一口でつまめる軽食もあった。フォアグラのムースを詰めた最中もなか、スモークサーモンの生春巻き、きゅうりのサンドイッチ、きのこと栗のキッシュ、アボカドと海老のカクテルサラダ。極め付けは、〈野ばら亭〉名物のモツ煮込みを、小さな器に入れて、上からパイ皮でふたをして焼き上げた、お父さんの自信作だった。
 
 お菓子と軽食が、運ばれてくるたびに、皆んな、目を輝かせて歓声を上げてくれる。ついさっき、神々しいお姿を見せていたアマツ様は、きゅるきゅると小さな声を上げて、わたしの頬に頭をすりつけた。
 実は、ものすごく高位の神霊さんらしいスイシャク様は、ふっくふくに膨らんで、上機嫌に左右にお尻を振っている。二柱ふたはしらとも、ものすごく可愛くて、微笑ましくて、神威にあふれているときとの落差が、信じられないくらいだった。
 
 初めて一緒に食卓を囲んだ、クレメンス様と女性の神職さんたちは、スイシャク様とアマツ様が、改めて姿を見せた時点で、石みたいに固まっていた。二柱とも、可愛い口をぱかんと開いて、おいしそうに食べてくれるんだけど、神職さんにとっては、神霊さんが飲み食いをすること自体が、衝撃的な光景らしい。
 〈野ばら亭〉に泊まり込んでくれている間、ずっと一緒にご飯を食べていたヴェル様は、冷たくも見えるアイスブルーの瞳を、楽しそうに輝かせながらいった。
 
「モツ煮込みのパイ包み焼きは、感動的な美味しさですね。ボウルにいっぱいでも食べたいところですが、たくさんの種類をご用意いただきましたので、少量ずつの方がよろしいのでしょう。カペラ殿のお料理をいただくと、本当に寿命の延びる心地がいたします。そうは思われませんか、クレメンス殿?」
「…… 正直に申し上げますと、寿命が延びるというよりは、むしろ縮んでいる気がいたしますよ、パヴェル殿。お話にはうかがっておりましたけれど、わたくしのような小心者は、畏れ多さの極みにて、尊き御神霊の御前では、なかなか飲食もいたしかねます。そもそも、御神霊が実際に御飲食を遊ばす情景など、想像の外でございますれば」
「ほっほっほ。クレメンス殿の申されるのも、道理であろうな。先ほど、我らが拝謁はいえつを賜った、尊くも荘厳なる御神霊が、愛くるしい御神鳥のお姿となられ、お菓子や軽食を実際にお召し上がりになられるなど、この目で見ても信じられぬ。御神霊の御神威は、変幻自在へんげんじざいにして融通無碍ゆうずうむげらせられる。かしこみ畏み」
「尊き御神霊に対してたてまつり、こだわりなくお給仕をしておられるお嬢様も、誠に得難えがた御方おんかたでございますな、大神使猊下。さすが、御神々が御鍾愛ごしょうあい遊ばされます、《神託の巫》で在られます」
「えっと、何をおっしゃってるのか、だいたいはわかるんですけど、お気になさらず、どんどん食べちゃってくださいね、クレメンス様。スイシャク様もアマツ様も、〈美味しいから食べなさい〉って、イメージを送っておられますので。うちの家だと、神霊さんと一緒にご飯を食べるのが、当たり前になってますし」
「ご自分の発言が、いかに奇跡的なものであるか、チェルニちゃんが気づくときがくるのでしょうか、パヴェル?」
「さて、難しゅうございましょうな。生まれついて空を飛ぶ鳥には、地を駆けるしか術のない者の心は、遠く隔たって感じられましょう」
 
 ミル様とヴェル様は、すごく優しそうに微笑んでいるのに、少しだけ悲しそうだった。その口調は、どこかで、確かに聞いた覚えのあるもので……わたしは、すぐに町立学校の校長先生を思い出した。
 身の内に蛇を飼ってしまった、同級生のロザリーが、可愛い顔を激しい憎しみにゆがめて、わたしを責め立てたとき、校長先生はいったんだ。〈ロザリーの存在を、どうか覚えていてやっておくれ、サクラっ娘。人の世には、何千人、何万人のロザリーがおるのでな〉って……。
 
「どうかしましたか、チェルニちゃん?」
「……わたしって、傲慢ごうまんなんでしょうか、ヴェル様?」
「……何故なぜ、そのように思われたのですか? わたくしたちが、何か、チェルニちゃんのお気に触るようなことを申しましたか?」
「そうじゃないんです。そうじゃないんですけど、さっきのミル様とヴェル様が、何となく悲しそうだったから、わたしが、お二人を失望させちゃったんじゃないかって、そう思ったんです」
「失望などということが、あろうはずがございませんよ、チェルニちゃん。そう感じさせてしまったのでしたら、誠に申し訳ありませんでした。わたくしたちは、ただ、切なく思っただけなのです。人の世であれ、神の世であれ、人は決して平等ではないという事実そのものを、ほんの少しばかり」
「そうですよ、チェルニちゃん。尊き天上の神々さえ、平等では在らせられませぬ。神の恩寵おんちょう深き人もいれば、神とへだてられる人もおります。その差が、人の行いによって生じるものなら、誰もが納得するのでしょうけれど、必ずしもそうとは限りませぬ。神ならぬ身が、不公平だと思い込み、世をねることのなきように、心を尽くして参ることこそ、我ら神職の役割でございましょう」
「……わたしは、何をすれば良いんですか、ミル様? 〈神託の巫〉と呼ばれても、神霊さんに助けてもらうだけで、あんまり役に立てない気がするんですけど、それでも良いんでしょうか、ヴェル様?」
「正しき答は、神ならぬ身にはわかりかねます。けれども、そうして悩んでおられる時間こそが、貴女様あなたさまの御心のかてとなりましょう。人と神とのよすがこそ、尊き御神霊が定められました、〈神託の巫〉のお役目。人として、悩みまどうことこそは、神の化身で在られる〈神威の覡〉に、唯一おできになられぬわざでございましょう」
「要は、悩みながら、ゆっくりと成長してほしいということですよ、チェルニちゃん。猊下は、少々、物言いが固くていらっしゃるのです。例えば、今回の神前裁判も、チェルニちゃんにとって、貴重な学びの場となりましょう。もちろん、我ら神職も、等しく学ばせていただきますけれど」
 
 ヴェル様は、そういって、微笑みかけてくれた。今度は、ちっとも寂しそうでも悲しそうでもない、優しい笑顔で。ミル様も、思わず甘えてすり寄りたくなるような、温かで徳の高い微笑みで、わたしを見ていてくれたんだ。
 
 わたしは、なぜだか泣きたくなって、思わず下を向いた。スイシャク様とアマツ様からは、特にイメージは送られてこなかったけど、淡い純白の光の帯と、淡い真紅の光の帯で、わたしの身体をぐるぐる巻きにしてくれた。
 生まれて初めて、面と向かって憎しみをぶつけてきたロザリーの存在は、やっぱり、わたしには重かったんだと思う。毎日毎日、びっくりするようなことばかり起こるから、普段は意識していないだけで、ロザリーの憎悪にまみれた表情も、校長先生の悲しそうな声も、忘れてなんかいないんだよ。
 
 今回の神前裁判では、ルーラ元大公と、クローゼ元子爵たちが裁かれる。ご神霊の加護の厚いオディール様を、ずっとうらやんで、ひがんで、憎んで、道を誤ってしまったルーラ元大公。力のご神霊から印をもらえなくて、怒って、傷ついて、人をおとしいれようとしたクローゼ元子爵……。
 もちろん、何の罪も犯していないロザリーを、この人たちと一緒に考えるわけにはいかないけど、わたしが理解できず、理解しようともしてこなかった何かが、共通していたりはしないんだろうか。
 
 今回の神霊裁判は、大きな分水嶺になるんだって、確かな予感がある。他国にとっての、ルーラ王国にとっての、王太子殿下にとっての、貴族たちにとっての、アリアナお姉ちゃんにとっての分水嶺。そして、わたし自身にとっても、何かが変わるきっかけになるんだろう、きっと。
 
 あっという間に時間が過ぎて、神霊裁判の当日が訪れるまでの間、そんなわたしの予感は、ずっと消えることはなかったんだ……。
 

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