連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-22
パレルモさんの話を聞いて、部屋にいる人たちは、いっせいにわたしを見た。神霊庁の奥殿の宝物庫、そのさらに最奥にある〈神物庫〉の中から、不審な音がするらしいんだけど、わたしは、何も知らなかった。
まあ、部屋にいる人たちは、わたしっていうより、わたしの腕の中のスイシャク様と、肩の上にいるアマツ様に注目しているんだろう。神霊さんに関係する不思議は、神霊さんに聞くのが確実だからね。
無言の圧力に押されて、わたしは、スイシャク様とアマツ様に尋ねてみた。最近は、言葉にして会話するんじゃなくて、イメージを伝え合う練習をしているところだから、心の中に質問を思い浮かべる。〈神物庫の音に、お心当たりがありますか?〉って。
わたしとスイシャク様、アマツ様の間に開かれている回路は、毎日どんどん広がっているから、簡単な質問くらいなら、〈祈祷〉のときみたいに、精神を集中しなくても大丈夫になっている。今も、わたしから二柱に向かって、目に見えない光が伸びていったのが、はっきりとわかった。
わたしの質問に対して、二柱から返ってきたのは、明確な肯定のイメージ。スイシャク様とアマツ様は、この騒動の理由がわかっていて、面白がっているみたいなんだ。〈神器が其に頼みたる〉〈願いを叶えるが吉〉〈物に魂の宿りたるは、物神とぞ言わん。天津、国津の神にはあらねど、神霊の内なれば〉って。
十四歳の少女の生活としては、本当に慌ただしくて、大変なことが起こりすぎるとは思うけど、こればっかりは仕方がない。どう考えても、知りませんで済ませるわけにはいかないだろうし、神霊さんの役に立つことなら、協力するしかないからね。わたしは、こっそりと溜息をついてから、ミル様とヴェル様にいった。
「えっと、神物庫っていうところの音について、スイシャク様とアマツ様は、心当たりがあるそうです」
ミル様とヴェル様は、二人揃って、満面の笑顔を浮かべた。これは、あれだ。〈期待通り〉とか〈想定通り〉っていう顔だよね、多分。
「そうでしょうとも。〈神託の巫〉がお出ましになった、まさにそのとき、神聖なる神物庫の奥から、尋常ならざる音が響いているのです。御神霊の御業ではないなどということが、あろうはずがございません。どうか、御二柱の御言葉をお伝えくださいませ、チェルニちゃん」
「わかりました、ミル様。えっと、神物庫の中の神器が、わたしに頼みたいことがあって、呼んでいるんだそうです。スイシャク様とアマツ様からは、そのお願いを叶えるようにっていわれました。あんまりよくわからないんですけど、神器に魂が宿ったら、神霊さんになるのかもしれません」
深く考えるまでもなく、スイシャク様とアマツ様からのイメージを伝えたら、部屋の空気が揺れ動いた。ざわって。お父さんたちは、わたしと一緒で、あんまり意味がわからないみたいだったけど、ミル様とヴェル様、ついでにパレルモさんまで、ものすごい勢いで瞳を輝かせたんだ。
「これはこれは。もしや、伝説ともいうべき瞬間に、立ち会える可能性があるのでしょうか、猊下?」
「そうであろう。そうとしか考えられぬよ、パヴェル。素晴らしい。この歳になって、その瞬間に遭遇できるとは、何という僥倖なのだろう」
「お嬢様に、宝物殿まで御運びいただくのでございましょうか? そうとなれば、宝物殿の人払いが大変でございますね。神職たるもの、遠く仰ぎ見るだけでもと、願わぬ者はおりませんでしょう。いっそ、拝見することは叶いませんか、大神使猊下? お口添えをいただけませんでしょうか、オルソン猊下?」
「それはもう、ひとえに御二柱の御心次第であろうな。チェルニちゃんの負担になるのであれば、御二柱がお許しになるはずもなし」
「ここは、お尋ねするしかなかろう。頼みますよ、パヴェル」
「わたくしでございますか、猊下?」
ヴェル様たちは、とっても楽しそうにささやき合っている。わたし自身にはわからないのに、どうやら神器からの〈お願い〉の内容を、予想しているみたいなんだ。ところどころ聞こえてる、ヴェル様たちの話の内容からすると、本当にめずらしくて、喜ぶべきことらしいんだけど。
しばらくすると、三人の話がまとまったらしく、代表になったらしいヴェル様が、わたしにいった。
「チェルニちゃんは、神器の〈お願い〉を叶えるために、宝物庫まで行ってくださるのでしょうか?」
「はい。そうみたいです。何をどうしたら良いのか、わたしには、まったくわからないんですけど、そうしなさいって、スイシャク様とアマツ様がいってます」
「誠にありがたいことです。それで、その〈お願い〉を叶えておられるご様子は、我らが拝見しても良いものなのでしょうか? もし、かまわないということでしたら、神職たる者の得がたい経験として、遠目にでも拝見させていただきたいのです。尊き御二柱に、お許しいただけるのかどうか、お尋ねいただけませんか、チェルニちゃん?」
ヴェル様にいわれるまま、わたしは、スイシャク様とアマツ様に質問してみた。神器の〈お願い〉を叶えるとき、神霊庁の人たちが見ていても良いんですかって。スイシャク様とアマツ様は、どことなく面白がっている感じで、大らかに承知してくれた。〈是也〉〈心に穢れのなき者なれば、秘すべき程の事もなし〉〈我らが雛の剛毅なる哉〉〈雛は人目を厭わず、己が役目を果たさんとぞする〉って。
いや、わたしは、ヴェル様のお願いを伝えただけで、見学されたいなんて、思ってないよ? これは、もしかすると、早まったかもしれない。神霊庁の人たちに見学されちゃうのって、神器というより、わたしだったりする……の?
人前で〈神託の巫〉っぽいことをするのは、まだ抵抗があるんだけど、神霊さんから送ってもらったイメージを、わざと歪めるわけにはいかないからね。わたしは、仕方なく、正直に答えた。
「えっと、心に穢れのある人じゃなければ、見てもらって大丈夫だそうです。神霊さんにとっては、秘密にするほどのことじゃないからって、いってくれています」
わたしが、そう答えた瞬間、ミル様とヴェル様、パレルモさんの三人が、子供みたいに顔を輝かせて、すごい勢いで動き始めた。
「何とありがたい御言葉でしょう。すぐに準備を整えなさい、パヴェル。万事、遺漏のなきように」
「御意にございます、猊下。差配は、お任せいただいてもかまいませんでしょうか?」
「ええ。よろしく頼みますよ。万が一、御神霊の御心に沿わぬことがあれば、チェルニちゃんが教えてくれるでしょう。よろしいですか、チェルニちゃん?」
「え? あ、はい。わかりました、ミル様」
「わたくしからもお願いいたします、チェルニちゃん。さて、ロレンゾ」
「何なりとお申し付けくださいませ、オルソン猊下」
「まず、場を整えなさい。皆で宝物庫の物を移動させ、すべての神職が入れるだけの空間を作るのです。ご神霊をお待たせするわけにはいきませんので、使えるだけの神霊術を使い、早急に。その後、本日、神霊庁に出仕している神職を残らず招集し、〈神託の巫〉がお出ましになるまで、待機するように。〈神託の巫〉の御業を拝見させていただけるのですから、手抜かりのないように注意しなさい」
「畏まりました。本日は、〈神託の巫〉のお出ましに備えて、神霊庁のすべての神職が出仕しております。ありがたいことでございます」
「よろしい。では、準備を」
パレルモさんは、深々と頭を下げてから、わたしたちのいる部屋を出ていった。今にも踊り出しそうなくらい、弾んだ足取りで去っていくパレルモさんを見て、わたしは、本気で後悔していた。
だって、パレルモさんってば、〈すべての神職が出仕している〉っていわなかった? そして、ヴェル様ってば、〈出仕している神職を残らず招集〉して、見学するっていってたよね? 神霊庁に来た日に、いきなり〈神託の巫〉だって宣旨を出されちゃったわたしは、やっぱりいきなり、神職さんたち全員の前で、何かのお役目を果たさないといけないみたいなんだよ……。
わたしの腕の中のスイシャク様と、肩の上のアマツ様は、とってもご機嫌だった。〈我らが雛の成せる業、我らが信徒に示すらん〉〈人の子の心は歪にして、脆きものとぞ覚えたり。神と雛との縁を知らしめ、悋気の芽をこそ摘み取らん〉って。
教育熱心なスイシャク様と、なぜか人の心の機微を知っているアマツ様は、わたしが〈神託の巫〉として認められるように、わざとたくさんの神職さんたちの前で、何かをさせるつもりなんだろう。今も小さく鳴り続けている、神物庫の中の神器の音まで、スイシャク様とアマツ様の計算通りなのかは、わからないけどね。
ちょきちょき、ちょきちょき。ちょきちょき、ちょきちょき。少しずつ大きくなってくる、神器の音を聞きながら、わたしが緊張に震えそうになったのは、仕方のないことだったと思うんだ……。
◆
今度は、とってもおいしい果物を食べさせてもらって、ヴェル様の〈装束に着替えませんか、チェルニちゃん?〉っていうお誘いを、謹んでお断りしている間に、パレルモさんが呼びに来てくれた。準備はすべて整いました、って。
何というか、神職さんたちの気合の入り方がわかるくらいの、すっごい早さだった。神妙な顔で、〈御神々をお待たせするなど、許されざる不敬でございますので〉とかいってたけど、声がうれしそうに弾んじゃってるよ、パレルモさん。
お父さんさんたちも、邪魔にならないのであれば、一緒に行きたいってお願いして、わたしたちは、全員で宝物庫に向かった。パレルモさんに先導されるまま、ほんのり輝く廊下を通り、何回か扉を開けてもらい、何回か角を曲がって……一人だったら、絶対に迷子になりそうなくらい進んでから、わたしたちは大きな扉の前に到着した。
その扉が、とっても特別なものであることは、すぐにわかった。見るからに分厚そうな扉は、一枚のとてつもなく巨大な板に見えた。見上げるくらいの高さがあり、横幅なんて大型馬車が行き交うくらい広いのに、どこにも継ぎ目が見当たらないんだ。確かに扉なのに、どうやって開けるのかさえわからない、何とも不思議な光景だった。
そして、スイシャク様とアマツ様に教えられるまでもなく、わたしの目には、人にあらざるものが見えていた。巨大な扉の上下左右の四隅に、浮かぶでもなく、めり込むでもなく、ただ、ゆったりと存在しているんだよ……亀が!
四匹というべきなのか、四柱というべきなのか、上下左右の亀たちは、わたしが両手を広げたくらい大きかった。色はそれぞれで、甲羅の部分は濃く、手足は薄く色づいている。右上の亀はさわやかな青色、右下の亀は鮮やかな朱色、左上の亀は清々しい白色、左下の亀は深みのある黒色。どの亀も、宝石みたいに輝いていて、瞳はお揃いの金色で、清らかな神気をまとっていた。
神霊さんであることは確かだけど、スイシャク様やアマツ様、クニツ様たちと比べると、神威が濃密じゃない気もする。でも、さすがに神霊庁の宝物庫ともなると、こんな神々しい存在が、扉を守っている……んだよね?
わたしが、前後左右に目を動かしながら、呆然と亀を見ていると、ミル様とヴェル様が、楽しそうに笑った。
「ほほ。チェルニちゃんには、やはり見えているようですね、パヴェル。わかっていたことではあったが」
「左様ですね、猊下。〈神託の巫〉であられる御方様には、当然のことでございましょうね」
「あの、ヴェル様……」
「何でしょう、チェルニちゃん?」
「あれって、亀、なんですよね?」
「はい。千年余の昔から、神霊庁の宝物を守護してくださっている、尊き守護神霊であられます。神霊庁に伝わる古文書では、〈固めの神亀〉と記されております。青色の春守護の神亀、朱色の夏守護の神亀、白色の秋守護の神亀、黒色の冬守護の神亀であられます。通常は、季節ごとの御一柱が、守護の任を負ってくださるのですが、本日は〈神託の巫〉のお出まし故、四柱がお揃いでお出迎えになっておられるのでございましょう」
へえ。そうなんだ……って、わたしは、ぼうっと考えていた。だって、あまりにも不思議で、現世ならざる光景だったから。神霊王国と呼ばれ、神霊さんと共に生きるルーラ王国でも、神霊さんのお姿を見ることは、ほとんどないんだよ。
ヴェル様は、うれしそうに微笑み、わたしと亀を交互に見てから、廊下の片側で控えていた、お父さんたちにも声をかけた。
「宝物庫を守護する神亀は、御神霊からご加護を得た者にしか、お姿を拝見できないのです。神職になるほどの者は、皆、何らかの加護を授けられておりますが、見え方は人それぞれです。ぼんやりとした淡い光が見えるだけの者もいれば、はっきりと亀の形に見える者もいます。神使ともなれば、神亀の御尊顔を拝する者も少なくありません。皆様は、いかがでしょうか?」
ヴェル様は、お父さんたちに向かって、にこやかに微笑んだ。質問の形を取っているけど、ある程度は見えるだろうって、確信しているみたいな態度だった。神霊さんの印は、ほとんどの人に授けられているけど、神霊さんからの〈守り〉である加護を受けている人は、めったにいないはずなのにね。
わたしの腕の中のスイシャク様と、肩の上のアマツ様が、〈この場に伴なわれしは、縁ある故也〉〈我らが雛に近しき者は、自ずと神霊の息吹に触れん〉〈神の綾為す業をして、人の子は縁とぞ言わん〉って、イメージを送ってくれているから、つまりはそういうことなんだろう。
お父さんが、皆んなの顔を見回してから、戸惑いがちに答え、他の皆んなも、それぞれに口を開いた。
「わたしには、亀らしい形を取った四色の光が、強く、大きく輝いているように見えます、オルソン猊下」
「わたくしも、似たような感じですわ、猊下。とても強い光なのですけれど、目を射る激しさがなく、じっと見つめていると、穏やかな気持ちになります。アリアナはどう?」
「巨大な四色の亀のお姿で、お顔もはっきりと見えます。ただ、表情がお変わりになるわけではなく、まるで宝玉から彫られた美しい彫刻のようです。フェルトさんは、どう見えているのですか?」
「わたしには、亀は見えないらしいよ、アリアナさん。その代わり、轟々と燃え盛る四色の炎が、扉を縦横無尽に動き回っている様子が見える。とても美しくて、力強くて、少し怖い気持ちにもなるんだ。どうですか、総隊長?」
「フェルトに近いな。おれの身長くらいありそうな四色の炎が、扉の四隅で燃えている。ぱちぱちと爆ぜては鱗粉を飛ばし、渦を巻いて燃え盛っているぞ。おれは、人並みより強い程度の神霊術しか使えないはずなのに、どうなっているんだ?」
こっそりとつぶやくみたいな、総隊長さんの最後の言葉に反応したのは、亀……じゃなくて、神亀だった。黒曜石の輝きをまとった黒い神亀、ヴェル様に教えてもらった冬守護の神亀が、後ろ足で立ち上がり、わたしに向かって、短い両手を振っているんだよ……。
冬守護の神亀は、ぱくぱくと口を開け閉めするんだけど、言葉は聞こえてこない。何かを伝えたいのはわかったから、軽く目をつむって精神を集中させてみると、小さくてぼんやりとしていて、言葉にもならない言葉が、なぜか鮮明に理解できた。あのね、亀がいうんだよ。〈キュレルの街の守護役に、固めの加護を授けたり〉〈王都の巣守りに努むべし〉って……。
いつもみたいに、回路を開いてもらったわけでもないのに、なぜか神亀から送られてくるイメージを感じ取れるのは、昨日、祈祷をして、ぴかぴか発光する少女になっちゃったからなのか、〈神託の巫〉の宣旨を受けたからなのか? わたし、十四歳のチェルニ・カペラは、今日も神霊さんの不思議に翻弄されているんだ。
何となく、黒光りする巨大な神亀が、催促している気がするから、わたしは、総隊長さんに伝言を伝えることにした。スイシャク様とアマツさまは、さっきからうれしそうに膨らんでいるし、それで正解なんだろう。
「あの、総隊長さん」
「どうした、チェルニちゃん?」
「黒色の冬守護の神亀から、総隊長さんにご伝言があるみたいです。さっきから、両手を振って合図をしておられるので、お伝えしても良いですか?」
「は? おれに?」
「そうです。総隊長さんに、です」
「それはまた、光栄の極みだよ、チェルニちゃん。よろしく頼む」
「了解です。えっと、冬守護の神亀は、〈キュレルの街の守護役〉の総隊長さんに、〈固めの加護〉を授けてくれたそうです。〈王都の巣守り〉になりなさいって。お言葉はわかるんですけど、具体的にどうすればいいのかは、仰ってないです」
わたしがいうと、総隊長さんは、がしっと固まった。筋肉質の立派な体格で、見るからに強そうな総隊長さんが、彫刻みたいに固まっちゃうと、〈猛き戦士の像〉っていう感じだよね……なんて、のんびりと考えているのはわたしだけで、他の人たちには、やっぱり衝撃だったみたいだ。
ミル様とヴェル様とパレルモさんは、もうにっこにこに笑いながら、こそこそと話しているし、お父さんたちは、呆然とした表情で、わたしと扉の交互に視線を泳がしている。そして、当の総隊長さんはというと、〈猛き戦士の像〉のまま硬直しているんだ。わたしの伝言だけじゃなく、何らかのご神託があったんじゃないかって、何となく思った。
やがて、ぎぎぎって、音がしそうなくらいゆっくりと、身体を動かし始めた総隊長さんは、微かに震える声でいった。
「ありがとう、チェルニちゃん。チェルニちゃんの言葉を聞いた瞬間に、冬守護の神亀であられる御方様から、御神託を賜ったよ。畏れ多くも、数ならぬ身のこのおれに、〈固めの加護〉を賜り、為すべき使命をお教えくださった。チェルニちゃんが伝えてくれたお陰だ。ありがとう」
総隊長さんは、それだけいって、右手を胸に当てたまま、軽く頭を下げてくれた。多分、座礼を取られたりすると、わたしが嫌がるってわかっているから、そうしてくれたんだろう。本当にできた大人だよ、総隊長さんってば。
無事に〈通訳〉できたことに安心して、何気なく扉の方を見たわたしは、今度は思わず、ぱかっと口を開けた。だって、そこには、あんなに巨大だったはずの扉がなくなっていたから。開いたんじゃなく、扉ごと跡形もなく消えてしまっていたんだ。
扉の四隅だった位置に浮かんでいる、四色の四季の神亀だけが、神々しく煌めく中、わたしの耳に聞こえていた、ちょきちょき、ちょきちょきっていう音は、いよいよはっきりと響き始めていた……。