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連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 4-26
大成功のうちに〈勝負の食事会〉を終え、王都の家に帰ったとき、わたしたちを待っていたのは、神霊庁からの手紙だった。もちろん、無造作に郵便受けに入れられていたわけじゃなく、白木の郵便箱を捧げ持って、郵便馬車の配達員さんが、玄関前に直立していたんだけど。
神霊庁の手紙については、以前、ヴェル様に教えてもらったことがあった。ありとあらゆる神事を司る神霊庁だから、郵便一つをとっても、昔からの意味とし
小説コンテストを開催することにした、駆け出し出版社の話(4)
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ロゴ、ついに完成ここ最近の更新では、BOOK EXPOの話題が多かった気がする。いや、気がするというか、事実である。
BOOK EXPO出展に向けた制作物が多く、スケジュールは多忙。そんな中、ハナショウブ小説賞のロゴ制作も同時進行してくれた、デザイナーのミワさん。
数多くのバトルを繰り広げ(?)、最終ステージに残ったデザインがこちら。
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 4-25
〈天上天下に並びなく 四方万里に轟き渡る 菩薩の威光 弥栄 衆生を救いし観世音 大慈大悲の尊けれ〉
わたしの耳元で降ろされた、アマツ様の言霊は、やがて、誇らかで朗々とした響となって、部屋中を満たしていった。わたしは、言霊に込められた重さ……いわば、神威とでもいうべきものに圧倒されて、半ば意識を失いかけていた。本当に、それは何て巨大だったんだろう!
呆然として、ふらふらしながら立ちすくん
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 4-24
「わたしの親友、今も忘れられない唯一の友達である愛犬が、毒味のせいで死んでいなかったら、わたしは今、この席にはいなかったでしょう」
そういって、サミュエル会頭は、お祈りをするみたいに顔を伏せ、固く目をつむった。それまで、サミュエル会頭の頭に乗っかっていた、神霊さんっぽい犬は、まるで慰めているみたいに、サミュエル会頭の頭に、一生懸命に頬をこすりつけている。その姿が、ものすごく健気で、いじらしく
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 4-23
〈さあ、それでは、一品目の前菜からでございます。どんな意味を持つ会であれ、《野ばら亭》のマルーク・カペラの料理が出されるのなら、そこには純粋な喜びがあるだけですわ。皆様、どうぞ召し上がれ〉
そんなお母さんの言葉と共に、いよいよ〈勝負〉の食事会が始まった。大きな個室には、物件の売り主である、サミュエル・ロッサリオ会頭や奥様たち。もう一つの個室には、わたしとアリアナお姉ちゃん、フェルトさん、総隊
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 4-22
冷たく澄んだ空気が、間近に迫った冬の訪れを感じさせる日、我がカペラ家は、運命の〈勝負〉に挑もうとしていた……なんて、物語の書き出しを真似て、自分に気合を入れているんだけど、実際には、深刻な問題が起こったわけじゃない。わたしたちは、ある人に、お父さんの料理を食べてもらうために、出かけようとしているんだ。
わたしの大好きなアリアナお姉ちゃんが、フェルトさんと一緒に王城に行ったのは、一昨日のこと