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連載小説 神霊術少女チェルニ 小ネタ集 マルーク・カペラの祝祭夜
一年の最後を締め括る夜、マルーク・カペラは、黙々と料理を作り続けていた。マルークが、最愛の妻と共に経営している、高級宿兼食堂の〈野ばら亭〉には、飛び切り美味しい料理と共に、行く年を見送ろうという客たちが、今年も続々と集まっているのである。
「後のことは、俺たちに任せてくださいよ、親父さん。そろそろ家に帰らないと、お嬢さんたちが待ち兼ねているんじゃないですか?」
そういって、マルークに声をか
連載小説 神霊術少女チェルニ 小ネタ集 パトリック・クレマンの美味探究
こちらは、現在連載中の、〈神霊王国物語〉シリーズ『神霊術少女チェルニ〈連載版〉』の小ネタ作品です。
本日より7日間、小ネタ集を投稿いたしますので、ぜひ『〈連載版〉』や『往復書簡』と合わせてお楽しみください。
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わたしの名前は、パトリック・クレマン。三十二歳、独身。恋人募集中。
わたしは、ル
連載小説 邂逅 ー神霊術少女チェルニ外伝ー〈後編〉
少年少女の誘拐に手を染めている、アイギス王国の外交使節団長、シャルル・ド・セレント子爵を捕縛するため、王国騎士団の精鋭たちは、王都の通用門を駆け出した。やがて、見晴らしのいい草原の彼方に、場違いにも立派な箱馬車と、騎馬の騎士たちの姿を見つけたとき、一行は微かに安堵の息を吐いた。
門を出る直前、密かに尾行を続ける〈黒夜〉から届けられたのは、〈集められし《荷物》は、依然として馬車の中にあり〉という
連載小説 邂逅 ー神霊術少女チェルニ外伝ー〈中編〉
ルーラ王国の王国騎士団が、少年少女誘拐の実行犯を捕らえてから数日、宰相であるロドニカ公爵の執務室に、再び関係者が集められた。ロドニカ公爵と筆頭事務官、何人かの官吏、王国騎士団長レフ・ティルグ・ネイラ、レフの部下たち。そして、前回は姿を見せなかった男が一人、宰相執務室の片隅に控えていた。
「先日は助かったよ、レフ。いつもながら、誠に見事な手並だった。今日は、捕縛した者たちの尋問の経過を、そなたた
連載小説 邂逅 ー神霊術少女チェルニ外伝ー〈前編〉
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こちらは、現在連載中の、〈神霊王国物語〉シリーズ『神霊術少女チェルニ〈連載版〉』の外伝作品です。前編・中編・後編の全3部構成となっています。
なお、本作『邂逅』と『神霊術少女チェルニ〈連載版〉』『神霊術少女チェルニ〈往復書簡〉』では、作品のイメージに合わせて文体が大きく異なります。
ぜひ、『
連載小説 神霊術少女チェルニ 往復書簡 幕間書簡(13) ユーゼフ・バランとエルヴェ・ルクラ・クラルメ
幕間書簡(13)
ユーゼフ・バランとエルヴェ・ルクラ・クラルメ
〈キュレルの街の町立学校で校長を務めるユーゼフと王立学院の前学院長であるエルヴェとの書簡〉
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エルヴェ・ルクラ・クラルメ先生 御机下
朝晩、いくらか冷え込むようになってまいりましたが、お元気でいらっしゃいますか、先生? 大切な御身なのですから、くれぐれも無理をなさらず、ぬくぬくと着膨れしていただきますよう、お願い申