待ちとせっかちと私
こんにちは、左目にものもらいができてしまい、しばらく眼鏡生活のヤナガワです。
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私のこれは、せっかちなのか
昔から、待つことが苦手なタイプでした。
せっかちというか、心配症というか。時間に遅れないように早めに動きたい、という気持ちが強かったわけです。
特に、学生時代の移動教室や課外活動の集合時間には敏感で、体育の着替えも効率第一でした。制服の下に体操服(半袖、ハーフパンツ)を着て登校し、座学の授業終了と同時に制服を脱ぐ。体育が終わったらそのまま制服を着て、半ズボンだけ脱ぐ。あの頃の私は、なるべく着替えによるタイムロスを失くすことに全力を注いでいました。
とは言いつつも、集団生活から外れプライベートとなると話は別です。
本来の私はそもそもが怠惰な人間なので、「さっさとお風呂に入って布団で寝る」か「全てをあきらめてこのまま床で寝る」の2択が迫ったときには迷わず後者を選びます。友人が待ち合わせに遅れても、予約している物事がなければ特に気にしません。
ただ、なぜか料理だけは例外で、調理過程に存在する「待つ」という工程を我慢することができないのです。過去の事例を見てみましょう。
1.ゆで卵
この日食べたのはインスタントラーメン。
具なしタイプなので、追加でゆで卵を作って載せることにしました。ゆで時間は9分です。
鍋の中の卵を見つめて1分も経たないうちから、すでに頭の中は「まだかな~」で埋め尽くされています。そして、私は思ったのです。
「9分ゆでるってことは、つまり、7分でもあんまり変わらないんじゃない?」
あんまり変わらないということはないですが、多少黄身が柔らかくなることに異論はありません。トロトロタイプのゆで卵も好きですし。
しかし、次いで浮かんだ言葉は。
「7分ってことは……5分でも同じかぁ」
いや、そんなわけない。小学1年生のほうがよっぽど賢いです。
「同じ」の意味を理解していないのでしょうか。5分は5分でしかなく、決して7分ではありません。
ここまで来てしまうと、思考はどんどんエスカレートしていきます。
「5分……いや3分でもいいね!」
暴論。3分でいいわけがないです。元のゆで時間は9分なのだから。
と、いうことで、本来のゆで時間の1/3になってしまったゆで卵がこちらです。
殻をむく際、白身のほどんどが殻にくっつき、にゅるんっと持っていかれました。わずかに残った白身には、殻の膜が張り付き、何とも言えないお味。何とか必死に守った黄身は、もはや生卵と言っても過言ではありません。
2.目玉焼きトースト
食パンの上にマヨネーズで淵を作り、卵を割り入れる。トースターで数分焼けば、あっという間に目玉焼きトーストの完成です。
こんな簡単なレシピ、失敗するはずがありません(※ゆで卵も簡単です)。
自信満々にトースターに入れて待つこと数分。なんとなく白身は固まってきたけど、黄身は生かも。でも正直もう待ちたくない。悩んだ末に取り出すことを決めた目玉焼きトーストがこちら。
もうこのまま食べることにしました。そのままかぶりつくと卵が落ちそうだったので、ひとまず食パンを半分にちぎってみることに。すると。
全部落ちました。
これでは、「目玉焼きトースト」ではなく「食パン(マヨネーズ味)~卵黄を添えて~」です。
卵黄にディップしながらいただいた食パン(マヨネーズ味)は、素材の味を感じる一品でした。
3.メレンゲクッキー
先日クッキーを作った際に卵白が余ったので、メレンゲクッキーも作ってみることにしました。残念ながら、うちにはオーブンがありません。トースターでも焼けるレシピを探してみましたが見つからず、勘でやってみることに。ちなみに、皆さまご存じかとは思いますが、お菓子作りに勘や目分量はNGです。
今思い返せば、そもそも焼く前から失敗していたような気がします。私のメレンゲは、レシピにある生クリームのようなメレンゲではなく、デローンとしていました。水分多めの泡ハンドソープみたいな。
理由は分かっています。ハンドミキサーを使ってもなお、完全に泡立つまで待てなかったからです。
メレンゲを絞り終え、トースターへセット。オーブン用のレシピを見てみると……焼き時間が1時間から1時間半!? 2時間って書いてあるのもある! 私この後もクッキー焼くのに!? (※なぜかこの時、私は普通のクッキーよりも先に、ついでに挑戦したメレンゲクッキーを焼こうとしていました)
さすがに、今から1時間以上も時間を取られることは避けたい。一旦様子を見ながら5分ずつ焼いてみよう。そもそも私が使うのはトースターだし、オーブンとは違うから、そんなに焼かなくてもきっと大丈夫。
なんの確信もないまま、覚悟を決めてトースターのダイヤルを回しました。様子を見ながら5分ずつ。時々ツンツンしてみても、クッキーは柔らかいまま。もっとこう……サクッとなるはずだよな……。
いつまで経っても柔らかいままなので、30分ほどで一旦救出。クッキーを見てみると。
なんこれ。メレンゲクッキーってこんな感じだっけ?
全てのクッキーが一つの個体に進化し、パリパリになっています。手前はダークマター化。悲劇です。右下なんて、もはやアルミホイルと同化していますね。
本物のメレンゲクッキーを食べたことがないので正解がわかりませんが、私のメレンゲクッキーは、綿菓子をぎゅっとつぶして固めたような味でした。
4.蒸かし芋
1月某日。とある理由で3日間ほど在宅勤務を行いました。
以前のnoteにも書いたように、私はこの1年で意図せず7キロ増量しています(原因は普通に食べ過ぎと運動不足)。
自宅から出ないのであればこれ幸いと、ダイエットのスイッチを入れるために食事を見直すことに決めました。
まずは、一旦体をリセットさせるため、某ダイエット方法を参考に、1日の食事メニューを以下の内容に変更。
これをとりあえず3日間。ここで、早速甘えが出ます。
「さつまいも1本ってことは、グラムは関係ないのかな……じゃあ一番でっかいやつ買っちゃお~」
「プロテイン、おいしく飲みたいからココア味にしちゃお~」
もうすでに思考が脂肪に支配されています。そりゃ気付いたら7キロも増えているわけです。
さて、お昼休憩の1時間を使って、蒸かし芋を作ります。蒸し器を使うのは面倒だったので、フライパンで作れる簡単レシピを試してみました。
が、しかし。
そもそも、工程の大半を「待つ」が占めるこのメニューを作ろうとしたこと自体が失敗です。10分、20分と時間が経つにつれて、「なんかもう、これでいいかな……一応箸も刺さるし……」といった気分になってきました。
ということでそのまま実食。
蒸かし芋(仮)を半分に割ると、パキッと音を立てました。火が通っているのにこんな音するわけないよな~と思いつつ一口食べてみると、シャキシャキした歯ごたえ。ほぼ野菜スティックです。しかし、再び過熱するのも面倒なので、そのままいただきました。さつまいもの甘みを感じるでもなく、ただただ無味のシャキシャキを感じ続け、完食。毒性はないそうですが、お腹には優しくないので、皆さまはしっかり火を通して召し上がってください。
ちなみに、2日目以降は前日の反省を生かし、小さく切ったさつまいもをレンジでチンしてから、フライパンで調理しました。前日とは違い柔らかい食感、さらに焼肉のタレを絡めて食べたので、最高においしかったです。ダイエットにはなりませんでした。
結論:せっかちではない
何となくお察しの方もいらっしゃると思いますが、恐らく、私のこれはせっかちではありません。
・ゆで卵のゆで時間を9分から3分に変更→待っているのが面倒
・目玉焼きトーストを早めにトースターから出す→待っているのが面倒
・メレンゲクッキー失敗→メレンゲを混ぜ続けるのが面倒
・蒸かし芋シャキシャキ→待っているのが面倒
もう完全にただの面倒くさがりですね。
ということはつまり、移動教室や集合時間に敏感だったのは、時間ギリギリに動くと走らないといけないので面倒だと思っていたからです。体育のときに着替えの効率を意識していたのは、いちいち制服を脱いで体操服を着るのが面倒だから。どうにもせっかちとは言い切れないよな~と思っていたところ、やっと長年の謎が解けました。
最後に、満身創痍のメレンゲクッキーの中に隠れているハート、皆さま見つけられましたか? 正解はこちらです。