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フェオファーン聖譚曲op.Ⅰ 黄金国の黄昏

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#伊勢市

フェオファーン聖譚曲op.Ⅰ 4-4

04 アマーロ 悲しみは訪れる4 受け継がれしもの  召喚魔術を行使する為の儀式まで、遂に残り数ミルにまで迫った深夜、儀式の主役であるゲーナは、|叡智の塔の執務室で人を待っていた。世界一の魔術大国であるロジオン王国で、魔術師団長だけが使うことを許された専用執務室には、ゲーナ以外の人影は見当たらない。史上初めて行われる召喚魔術を前に、心を落ち着けたいというゲーナの願いによって、全ての者が執務室から遠ざけられていたのである。  ゲーナの全身から漂う静謐な気配が、深々と執務室を満

フェオファーン聖譚曲op.Ⅰ 2-8

02 カルカンド 状況は加速する8 恥辱の朝  側妃の|不貞を手助けした使用人達が、王国騎士団の騎士に連行される直前、只ならぬ出来事に揺れていたのは、王城を守る近衛騎士団である。純白の生地に黄金の獅子を描いた団旗が翻る近衛騎士団の本部は、異常な緊張と動揺に包まれていた。  夜通し王城の警護に当たっていた近衛騎士によれば、早朝、王国騎士団が突如として第四側妃の住むローザ宮に踏み込み、多くの女官や従僕を捕縛したという。王城内、それも王族に関わる事態であれば、王家直属の組織である

フェオファーン聖譚曲op.Ⅰ 2-7

02 カルカンド 状況は加速する7 罪の果て    タラスがスヴォーロフ侯爵を訪ねてから二日後の朝は、抜けるような晴天だった。その美しい青空の下を、麻縄で後ろ手に縛られた幾人もの男女が、裸足のまま引き摺られていた。着ている物は上等な女官服や女中服、或いは王城の|従僕が着る御仕着せである。ロジオン王国の誇る豪華絢爛たる王城で、只ならぬ何かが起こっているのだと、王城の者達は誰もが一目で察していた。  罪人らしき男女を引き連れているのは、濃紺の革鎧を身に付けた三十人程の小隊である