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納豆への憧れ

こんにちは、opsol bookのヤナガワです。

我が家は、納豆が食卓に並ぶ家庭ではありませんでした。買い物リストに載ったこともありません。ただ、あのねばねば感に、なんとなく惹かれる気持ちはありました。今日こそは食べてみようかな、と売り場をうろついたこともしばしば。結局、今日に至るまで手に取ることはありませんでしたが。

なぜ今日まで食べずに過ごしてきたのか。好みが分かれる食材であることは知っています。だからこそ、自分は100%納豆を好きになれると、胸を張って言えないからです。なんと情けないことでしょう。

食べたいけれど勇気が出ない。そんなジレンマを抱えながらも納豆に憧れ続けた私は、小学生の頃に名案を思いつきました。今回は特別に、当時実践していたその名案をご紹介しようと思います。

私が思いついた、納豆を食べている気分を味わえるとっておきの方法。ずばり、ほかの食べ物を納豆ぽく食べる、です。

意味が分からないかもしれませんが、そのまま解釈してもらえれば結構です。文字通り、ご飯やお味噌汁など、さまざまな食べ物を納豆ぽく食べるだけなので。

もう少し詳しく説明します。

納豆を実際に食べたことのないあの頃の私にとって、納豆のイメージはこんな感じでした。

(1)パックの蓋を開けて、透明のシートをはがす
(2)納豆をかき混ぜた後、箸を持ち上げるとねばねばと糸を引く
(3)箸をくるくるしながら糸を切る

この一連の動作を、ほかのメニューで同じようにやればいいのです。簡単ですよね。

当時私が再現していたのは、(2)を経ての(3)の工程です。自宅はもちろん、学校の給食時間でさえ、私はこの納豆もぐもぐモーションを実践していました。口に含むたびに糸を切る仕草をすれば、気分は完全に納豆です。

そんなことを続けていた、とある日のこと。

午前中の授業を終え、待ちに待った給食時間。その日の献立には、鶏肉と高野豆腐の卵とじがありました。いつもの調子で納豆気分に酔いしれていた私は、鶏肉を食べても、高野豆腐を食べても、人目を気にせずひたすら(架空の)糸を巻き巻き。すると隣の席の男子に、こう言われたのです。

「なんでそんな納豆みたいに食べるん?」

バレてる!

こっそりと納豆気分を味わっていたつもりが、めちゃくちゃバレていました。しかも、ただ変な食べ方をしていることだけでなく、納豆を意識していることまで。

私の再現度が高すぎたのか、はたまた隣の彼がかなりの納豆通だったのか。実際に隣でこんな食べ方をしている人がいたら、「この人、なんか納豆みたいに食べてるな」と思うのでしょうか。私は再現していた側の人間であり、実際にそんな人を見たことはないので分かりませんが。

「いやっ、別に……そんなんしてないけど……」

泳ぎまくりの目で、苦し紛れの言い訳をしました。変なことをしている自覚はあったので、納豆もぐもぐモーションがバレていたことがとても恥ずかしかったのを覚えています。この日以降、私がこの食べ方をすることはなくなりました。

ちなみに、冒頭にも書いてある通り、月日が経って大人になった今も、本物の納豆を食べる勇気は出ていません。ねばねば丼とか、キムチ納豆とか、食べてみたいレシピはたくさんあるのに。せっかくなので、このnoteを機に納豆にチャレンジしてみようと思います。

【opsol book編集部へ業務連絡】
納豆って、基本的に3パック1セットで販売されているイメージなのですが、1パックずつの販売もあるのでしょうか。恐らく、私は今日退勤後に納豆を買って帰ると思います。編集部内で納豆が大好きな人がいれば、いつでも声を掛けてください。場合によっては2パックお譲りできるかもしれません。

譲:納豆2パック+感謝
求:納豆のおすすめの食べ方


〈刊行作品のご紹介〉

『神霊術少女チェルニ1 神去り子爵家と微睡の雛』(須尾見 蓮/2021)

定価 本体1,800円+税  A5変型版ハードカバー

ほとんどの国民が神霊術を使うルーラ王国の南部。
「チェルニちゃん、いてくれてよかった。きみに力を貸してほしいと思っているんだ。街の子供たちが三人、拐われたかもしれない」
この誘拐事件をきっかけに、チェルニの運命は大きく動き出す――。

▼noteでもお読みいただけます!


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「私には、この大王国の黄昏の鐘が聞こえるよ」
王族、政治家、騎士たちのさまざまな思惑の中行われようとしている禁忌の「召喚魔術」。
アントーシャたちは、果たしてそれを止めることができるのか。そして強大な王国を倒すために採ろうとしている前代未聞の手法とは――。

▼リニューアル版(op.Ⅰ)はnoteでもお読みいただけます!

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