連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 4-35
ご神秤の印を持つマチェク様の声は、〈神秤の間〉いっぱいに、朗々と響きわたった。荒々しいわけじゃないのに、罪のある人を鞭打つみたいな、重みと威厳のこもった声。名前を呼ばれた元大公騎士団長、今は一切の身分を凍結されているから、ただのバルナとしか呼ばれない人は、マチェク様の呼びかけに、応えることはなかった。
正確にいうと、アリアナお姉ちゃんの証言のあたりから、精神的に追いつめられちゃったんだろう。大きな身体を縮め、耳をふさぐような格好で、被疑者席の椅子の上にうずくまったままなん