見出し画像

第2回ハナショウブ小説賞 最終結果発表!

このたびは、第2回ハナショウブ小説賞にご応募いただきありがとうございました。

本日、opsol book公式サイトにて、第2回ハナショウブ小説賞の最終選考結果が発表となりました。各部門の受賞作品は、以下のとおりです。

◆opsol部門

【大賞】賞金30万円+書籍化

『走れ!スーパー茜号』小川おがわマコト(応募時ペンネーム:macotyまこてぃ

*掲載当時からペンネームが変更されたことに伴い修正しています。

【あらすじ】
今日もあなたに届けるために。茜号、いざ出発!
ハードワークで体調を崩した宮沢祐介は、東京での生活に疲れ、三十歳を前にJターン転職。前職の不動産営業とは打って変わって、緑深い山間の町でお日様のキャラクターが描かれた車を走らせている。転職先のスーパーマーケット「茜屋」では、限界集落や高齢者の一人世帯が多い地域を巡る移動スーパー「茜号」を運営している。祐介はその運転手兼販売員をすることになった。
複雑な家庭環境で育ち家族との縁が薄く、かつての恋人ともうまく付き合えなかった祐介だが、茜号を通じて出会う町の人たちとの交流によって、空虚な心が少しずつ満たされていく。
ある日、常連の千代さんが約束していた商品を買いに来ず、不安を覚える祐介。茜号の利用者は単身の高齢者が多いため、茜屋は地元の自治体と「見守り協定」を結んでいる。千代さんの自宅へ向かい、呼び鈴を鳴らすが反応はない。担当のケアマネジャーに連絡し次の停車地へ向かうも、祐介の嫌な予感は的中し……。


【金賞】

該当作品なし


【銀賞】賞金5万円

『かすみ荘に暮らす人たち』ウダ・タマキ

【あらすじ】
ケアマネジャーとして、自分にできることとは――?
新人ケアマネジャーの鈴木飛鳥が働く釜ノ崎地域は、かつて日雇い労働者が全国から集う賑やかな街だったが、現在は当時の賑わいを失い、高齢化が著しくなっていた。
そんな街の一角にある「かすみ荘」。面倒見の良い家主・弥生は来るものを拒まない。ここには、複雑な人生を歩んできた高齢者が多く暮らしている。
若年性認知症、末期癌、心と体の性の不一致。さまざまな事情を抱えた住人たちに、ケアマネジャーとして明るく向き合う飛鳥。彼女もまた、苦労の絶えない人生を歩んできた一人だった。そして、かすみ荘に新しく引っ越してきた人物との出会いによって、飛鳥は自分の過去と向き合うこととなる。


【opsol book賞】賞金1万円

『暁号 国道九号線ルートナインを爆走中!』本多ほんだあにもる

【あらすじ】
暁に向かって、今日も国道9号線〈ルートナイン〉を走り続ける。

月森シゲルは、自身のトラックに「暁号」と名前をつけている。トラック運転手であるシゲルにとって暁号は大切な相棒だ。しかし、休憩を終えて駐車場に戻ると、そこに暁号の姿は見当たらない。確かにこの辺りに停めたはずなのに。
新人看護師“ポンちゃん”は、希望していなかった認知症治療病棟に配属となる。なかなか仕事に慣れることができず、先輩にフォローしてもらってばかり。自信を失い、やりがいを感じる余裕もないまま、患者の認知症症状に戸惑う日々を過ごしている。
入院患者の息子・英明は、妻に促されて渋々見舞いに訪れるが、たまにしか病室に顔を出さない自分を、認知症の父は認識できないことがある。英明はそんな状況を未だに受け入れることができず……。
患者、看護師、家族。それぞれの視点で語られる、一人のトラック運転手の物語。

◆テーマ部門

【大賞】賞金30万円+書籍化

『ハローハロー』九津十八ここのつとおよう

【あらすじ】
僕達は友達じゃない。傍から見ると歪んでいる、二人の関係の名前は――。

中学三年生の加瀬真中は一年生の夏休み以降、登校を拒否している。自己紹介の際に吃音をからかわれ、それからいじめが始まったからだ。
二学期になり、真中の家に車椅子に乗ったクラスメイト・明石京子が訪れた。手渡されたファイルに貼られた付箋には『また学校で会おうね、ピエロ君 カカシより』と書かれていた。彼女の訪問をきっかけに、真中は二年ぶりに学校へ行くことを決心する。
ピエロのように作り笑顔を浮かべて不都合なことをやり過ごしてきた真中と、自身のことを歩けないカカシだと皮肉る京子。互いを見下し合う関係でいることで、心穏やかな学校生活を送らないかと京子に提案され、奇妙な関係を築いていく二人だが……。


【金賞】

該当作品なし


【銀賞】賞金5万円

『帰る場所』目白成樹めじろしげき

【あらすじ】
それぞれが抱えた過去を胸に、二人の男は小説を書き続ける。

 主人公の“私”は定年退職後、小説講座に通い始める。七年前に自死した部下のことが頭から離れず、友人から小説にでも書いたらどうだと勧められたのだ。
 その講座で出会ったN氏は、明治から続く貿易会社の代表者で、引退後にその一族の歴史を小説に書いているのだと言う。
親交が深まったと感じても、なぜかN氏は急に冷たくなるときがある。自分はあなたとは違い、楽しんで小説を書いているわけではないのだと言い放つことも。私は、自分がそうであるように、彼もまた心を許してくれていると、そう思っていたのだが……。
どうして部下は死んだのか。N氏の態度の理由とは。彼らが執筆を終えたとき、真実が明らかになる。


【opsol book賞】賞金1万円

『ぼくとわたしのいるこの世界』川屋幹大かわやかんだい

【あらすじ】
ぼくはあと四日でこの世を去るらしい。その未来を、彼女は知らない。

ある日突然現れた男によって、四日後の死を宣告された枕崎雄馬。恋人の鬼塚楓に相談するも、楓は雄馬から受けた相談を数秒で忘れてしまう。どうやら、自身の死を周りにいくら打ち明けても、相手は何も理解できないらしい。代わりに、死ぬまでに一つだけ何でも願い事を叶えてあげると男は言う。
自身の死を匂わせる言葉は残すことができない。楓の幸せを保証してもらうこともできない。彼女に残せるものが何もないと諦めかけたとき、思い出したのは一つの花の名。二人の人生が交差したあの日、彼女が教えてくれた「アングレカム」。多くの制約がある中で、雄馬は最後に何を願うのか。
一組の男女が時を越えて心を通じ合わせる、環世界を巡るラブストーリー。

<選考委員>
鈴木 征浩【opsol株式会社 代表取締役社長 opsol book代表】
宮川 和夫【装丁家(宮川和夫事務所)】
opsol book編集部

▼選考委員による各受賞作品の選評は、opsol book公式サイトをご確認ください。

開催サイクルは変わりますが、第3回ハナショウブ小説賞の開催も予定しております。引き続きハナショウブ小説賞及びopsol bookをよろしくお願いいたします。


電子書籍発売のお知らせ

第1回ハナショウブ小説賞 短編部門大賞受賞作品「光を受ける者たち」(著・那月珠雨なづきしゅう)2月9日(金)に電子書籍で発売予定です! 詳細は続報をお待ちください。
▼第1回ハナショウブ小説賞結果発表はこちら!

▼授賞式の様子はこちら!

〈刊行作品のご紹介〉

『神霊術少女チェルニ1 神去り子爵家と微睡の雛』(須尾見 蓮/2021)

定価 本体1,800円+税 A5変型版ハードカバー

ほとんどの国民が神霊術を使うルーラ王国の南部。
「チェルニちゃん、いてくれてよかった。きみに力を貸してほしいと思っているんだ。街の子供たちが三人、拐われたかもしれない」
この誘拐事件をきっかけに、チェルニの運命は大きく動き出す――。

▼noteでもお読みいただけます!


『フェオファーン聖譚曲オラトリオ』シリーズ(菫乃薗ゑ/2020)

※絶版中、現在新装版刊行準備中。

「私には、この大王国の黄昏の鐘が聞こえるよ」
王族、政治家、騎士たちのさまざまな思惑の中行われようとしている禁忌の「召喚魔術」。
アントーシャたちは、果たしてそれを止めることができるのか。そして強大な王国を倒すために採ろうとしている前代未聞の手法とは――。

▼リニューアル版(op.Ⅰ)はnoteでもお読みいただけます!