サンタさんからのプレゼント
こんにちは、opsol bookのヤナガワです。
毎日気温が30℃を超え、暑い日々が続いていますが、今回はとある年のクリスマスの思い出を書こうと思います。
今は大人になってしまったため、12月25日の朝に目が覚めても、枕元にプレゼントが置いてあることはありません。あるのは耳元で鳴り響く目覚まし時計くらいです。寝たふりをして待ち伏せなどしないので、再び現れてくれてもいいのに。
私が子どもの頃、サンタさんから何を貰っていたのか、考えてみてもはっきりと思い出すことはできません。
ただ、せっかく貰えるのならそこそこの金額の物を選ぼう、という意識があったようで、「この小説が欲しいです。でも、これだとちょっと安いから、このゲームソフトもください」と生意気なことをお願いしていたように思います。
そういえば、サンタさんからのプレゼントに関して、一度だけ友人に嘘を吐いたことがあります。
「ヤナガワちゃんは、サンタさんに何貰うの?」
小学生の間では、クリスマスシーズンになるとよく耳にする、定番の質問です。
「私はコピックかな。年賀状の絵もこれ使って描くわ!」
当時、絵を描くことが一番の趣味だった私は、友人に「サンタさんからコピックを貰う」と言いました。でも、本当は違うのです。もちろんコピックは欲しかったけれど、私にはそれを上回るレベルで欲していたものがありました。
ニンテンドーDSのゲームソフトです。
いや、まだそれだけならば友人にも言えます。私が恥ずかしかったのは、それが男の子に人気のゲームソフトだったからなのです。
弟の影響で、私は『イナズマイレブン』というゲームにどっぷりハマっていました。このゲームが原作のアニメを見ていたことがきっかけで、うっかりアニメオタクの沼へと足を滑らせたり、当時エンディングを歌っていたハロー!プロジェクトのアイドルに数年の時を経てハマった結果、立派なハロプロオタクに進化したり。私の人生において、『イナズマイレブン』はなくてはならない存在なのです。
仲の良い友人たちは、イマドキのアーティストのCDやiPodなどを貰うようで、「イナズマイレブンのゲームが欲しいんよね」とは言えませんでした。そもそも、クラスでいつも一緒にいるメンツ、所謂いつメンとは、このゲームの話をしたこともありません。
そんな話題も年が明ければほとぼりが冷めていきます。サンタさんから何を貰ったかなんて誰も気にせず、むしろ冬休みに何をしていたかの話題で持ち切りでした。こうして、私は誰にも本当のことを言わないまま、イナズマイレブンのゲームソフトを手に入れていたのでした。
ちなみに、年賀状の件は「いや、コピック全然使いこなせん! 無理やった!」で押し通しました。
あれから月日が経ち、高校生になった私は、小学生時代のいつメンの内の一人に、思い切ってあの頃のことを打ち明けました。実は私、コピックじゃなくてイナズマイレブンのゲームソフトを貰ったんだよね、と。すると、その子も本当のことを打ち明けてくれたのです。
「え!? 私も! 西野カナのアルバム貰ったって言ったけど、本当はアニメのベストアルバム貰っとった!」
嘘やん。なんと仲間がいました。彼女も嘘を吐いていたのです。「なんか恥ずかしくて言えんかった~」と照れていました。もしかしたら、あの子も、あの子も、本当は別の物をお願いしていたのかもしれません。
もしこれからの人生で、私のもとに再びサンタさんが来てくれるのであれば、もう誰にも嘘は吐きません。だからどうか、次は現金か土地をいただけるとうれしいです。次のクリスマスまでまだ時間はありますので、サンタさん、ぜひじっくり検討してください。よろしくお願いします。
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