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インターホンの正しい応え方

こんにちは、opsol bookのヤナガワです。

在宅中にインタホーンが鳴った時、皆さまはどのように対応していますか? モニターや電話越しに応答し、その後玄関に向かうのでしょうか。それとも、そのまま玄関を開けるのでしょうか。

私は、リビングの死角に隠れて様子を窺います。

いわば、居留守ですね。さすがに、明らかに営業や勧誘の気配を感じた場合のみですが。

そんな私も、高校生の頃に一度、勇気を出してインターホンに付いている電話に出てみたことがあります。無視を続けることに、良心が痛んだからです。ただ、受話器を耳元に当てたは良いものの、適切な第一声が思い浮かびません。

「もしもし」は違和感があるし、「何ですか」だと威圧感を感じるような。「はーい」? あ、これかも。でももう応答してから十秒以上経っているし、今更言っても変か。

結局、何も言えなかった私は、無言のまま受話器を耳に当て続けました。恐らく、私が受話器を上げたことで、外にあるスピーカーからは「ザー」と音がしていたのでしょう。相手は、インターホンに付いているマイク部分を、指でコンコンコンとゆっくり叩いたのです。

相手がマイク部分を叩いたことに驚いた私は、恐怖に戦き即受話器を置きました。コンコン叩かずに、何か声を掛けてくれれば良いのに。無言で受話器を上げた側が言うなとツッコみたいくらい理不尽なことを考えながら、その後しばらく死角に身を潜めたのでした。インターホン、怖い。

なお、死角からこっそり玄関を見てみると、先程チャイムを押したであろう人がドアポストの蓋を押し上げ、隙間から中を覗こうとしていました。もう泣きそう。

奥様の定義

上記の出来事よりも更に昔。高校1年のとある夏の日のことです。

中学生の頃に所属していた部活動で、オリジナルの部活Tシャツ(通称:部T)を作成しました。カラーは、ピンクとイエローの2種類。練習中によく着ていたそれは、引退後に部屋着へと進化し、高校生になってからも愛用していました。

土曜日の午後。ピンク色の部Tを着てリビングのソファで寛いでいると、インターホンの音が聞こえました。宅配便や知人なら車のエンジン音が聞こえますし、ご近所さんであれば外から名前を呼ばれるはずです(ご近所さんはいつもインターホンと呼び声がセットです)。

エンジン音も人の声も聞こえなかったため、今玄関に居るのは恐らく営業の人か何かでしょう。そう予想して玄関を開けると、扉の向こうに2人の女性が立っていました。知らない人です。その内の1人が、私に向かってこう言ったのです。

「奥様ですか?」

違いますけど?

私のどこを見て奥様だと思ったのでしょうか。このピンク色の部T? もしや奥様くらいの年齢に見えた? 若妻ってこと?

「ははっ、違います~」
「あっ、そうですよね。若い奥様だなって思ったんですよ!」

いやいやいや、「思ったんですよ!」じゃないですYO。

当時の私は、15歳とは思えない程に大人っぽかったわけではありません。年相応の見た目ですし、服装はピンク色の部Tに高校指定のジャージ。メイクだってしていません。それなのに、奥様。この方の「奥様」のイメージは、ショッキングピンクのTシャツにジャージ姿がスタンダードなのでしょうか。

ドラマや映画を見て、「もう成人していると思っていたけど、この人まだこんな歳だったの!?」と俳優の実年齢に驚くことはあります。しかし、それは演技力が素晴らしいからであり、「良い意味」で大人っぽく見えるからです。

対して私の場合、どこを探しても「良い意味」が見つかりません。大人っぽく見られてうれしいと喜ぶべきなのか、実年齢よりも上に見られて悲しいと落ち込むべきなのか。奥様ではないことを伝えた時の、「まじで?」という顔が、全てを物語っていました。いずれにせよ、時が経った今でも鮮明に思い出せるほど、衝撃の一言であったことは事実です。

その後、やっちまったと思ったのか、はたまた最初からそのつもりだったのかはわかりませんが、女性2名はチラシを渡してすぐに帰っていきました。突然の訪問者を見送り、ソファに戻ってからも、「奥様ですか?」の一言が頭の中を巡り続けて消えません。こんな展開になるのなら、玄関を開けなければ良かった。この出来事をきっかけに、私は居留守を繰り返すようになるのです。

当時のツイート

個人的に、奥様扱いより、「おうちの人はいるかなぁ?」とお子ちゃま扱いされた方が良かったかななんて、思ったり、思わなかったり、ラジバンダリ。

そういえば、このnoteを書き溜めて寝かせている間に、友人から手紙をもらいました。その手紙の一部には「思ったり、思わなかったり、ラジバンダリ」の文字。まさかのリンクにひっくり返りました。やはり、付き合いの長い友人とは、思考が似てくるものですね。ちなみに、ダブルダッチさんのネタです。


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