編集部日記(愛しの消しゴム編)
こんにちは、opsol bookのヤナガワです。
以前投稿したこちらの記事で、消しゴムについてお話ししました。
あれから約1か月。1.3cmほどだった我が消しゴムは、一体どれくらい削られたのでしょうか。
-6mmのダイエットを経て、現在は約7mmという姿に。
だいぶ小さくなりましたね。手のひらに載せると、ほぼ乳歯です。
文字を消す能力は未だに衰えていないものの、このサイズになってくると、少し力を加えるだけで消しゴムが千切れてしまいます。すでに複数の亀裂が入っているため、あと数回使用すればバラバラに分かれてしまうことでしょう。
この子とは長い付き合いでした。いつから使い始めたのか、正直全く覚えてはいませんが、数多くの誤字を消し続け、もうすぐ消生(消しゴムがこの世で生きていくこと)にピリオドを打とうとしています。
いや、私はまだ離れたくない。
長い時間をかけて愛情を注ぎ続けてきたのに、このまま文字を消し続け、最後はバラバラになってしまうだなんて、そんなの嫌です。消しゴムの気持ちはどうなの? 最後まで消されたいのかな。それとも、ずっと私と居たいのかな。言ってくれなきゃわかんないよ……。
当然、人と消しゴムが意思疎通できるわけがないので、この子が思っていることはちっともわかりません。最後まで使い切るために丁寧に扱い続けてきたのに。愛着が湧きすぎて、これ以上この子を消費することが、こんなに辛いだなんて。
この子にとっての幸せは、やはり最後まで文字を消し続けることなのでしょうか。バラバラになるより、一つの個体として形を保ったままの方が良いと思うのですが。もしかすると、私の考えは、消しゴムとしての尊厳を踏みにじっているのかもしれません。
人間とは卑怯な生き物です。結局は、己のことしか考えていません。そして、私もそんな愚かな人間の一人。あなたのためだから、と口では言っているものの、本当は自分のためなのです。
ということで。
New消しゴムを使い始めました!
小さくなった消しゴムに愛着が湧いていたのは本当です。愛着が湧きすぎて、小さくなったあの子を使うのがもったいなくなったのも本当です。ただ、新品を開封してみたところ、久しく味わっていなかった使用感の良さにハマってしまい、もう元に戻れなくなってしまいました。
ホールドの安定感。紙と爪が擦れる心配もなく、一定の力を掛けても割れない丈夫さ。そうそう、本来の消しゴムはこうだったんだと、私は思い出したのです。
小さくなったあの子は今、ペンケースの中で眠っています。愛着がどうこうと語っていますが、よほどのことがない限り、デカ消し(新品の大きな消しゴム)にスタメンの座は奪われたままでしょう。
ごめんね。人間は、一度便利さを知ってしまうと、いくら愛情があっても手を離してしまう生き物なの。思い返せば、あんなにiPhone8に付いているホームボタンのことが大好きだったのに、iPhone13miniに乗り換えた瞬間、ホームボタンには見向きもしなくなったんだから。
とはいえ、いつか何かしらのピンチに陥ったときに、小さい消しゴムに救われる日が来るかもしれません。そんな未来を見据えて、もうしばらくはペンケースの中で眠ってもらおうと思います。その日まで、今はゆっくり休んでいてね。
ここまでお読みいただきありがとうございます。「いつか使うかもしれない」の「いつか」が訪れたことは、これまでの人生の中でまだ一度もありません。それでは、また次回のnoteでお会いしましょう!
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