通帳を失くしたかもしれない話
こんにちは、opsol bookのヤナガワです。
衣替えが面倒で、未だに超ぽかぽかインナーを着続けていますが、さすがにそろそろ厳しくなってまいりました。皆さまはすでに春服に切り替えているのでしょうか?
春といえば、少し前に会社近くの公園に綺麗な桜が咲いていたようで、サイさんが写真に収めてくれました。
やはり、桜を見ると春を感じますね。
さて、今回は私が過去に体験した、通帳を失くしたかもしれない時の話をお送りします。
シュレッダー疑惑
当時18歳、高校を卒業した私の手元に通帳がやってきました。これまで母が管理していたものです。これからは自分でこの子を守っていかなくてはなりません。失くさないようにと細心の注意を払いながら、この子の成長(貯蓄額の増減)を見守ってきました。
そんな中、通帳を受け取ってから1年が経った頃、私は運転中にとあることをひらめいたのです。
「車の中に通帳を隠しておけば、急に銀行に寄りたくなった時に通帳記帳もできるし超便利じゃん!」と。
大馬鹿者です。
名案だと浮かれ実行に移したものの、車内に保管したところで結局通帳記帳はサボりがちになり、この方法が無意味であることに気が付きます。さすがにそろそろ……と車内のグローブボックスを開くと、そこに仕舞ったはずの通帳がありません。
通帳って車に置いたままじゃなかったっけ?
確かに車の中に置いた気はするけれど、もしかしたら途中で自宅保管に切り替えたのかもしれない。面倒だからと通帳記帳を怠っていた私には、最後にどこで通帳を見たのか思い出すことができなくなっていました。
とりあえず自宅を探してみます。銀行帰りに通帳を鞄に入れて、そのまま自宅に置いたのかもしれません。そうであってくれと願いながら探し回ってみるものの、どこにも通帳の姿はありません。
いや、やっぱり車にあるのかも。私はもう一度車に戻り、グローブボックスの中を血眼で探しましたが、期待もむなしく、やっぱり通帳は姿を見せてくれません。
あれっ?
少しばかり冷や汗をかき、車内の至る場所を探してみますが、それらしきものは見つからず、もう一度自宅へ戻ることにしました。
やっぱりいつものところにあるのかも。焦って見落としちゃったかな。そういう日もあるよね、うんうん。一縷の望みをかけて自宅を探し周っても、通帳は顔を出しません。これだけ探しているのに出てこないとは、お主もしや恥ずかしがり屋さんかな? 軽口を叩いていないと、正気が保てない状態です。
ここで、今日までの自身の行動を振り返ります。
そういえば先日、通勤用バッグの中身を整理しました。資料が大量に挟まったクリアファイルがいくつも入っていたため、不要な資料はシュレッダーにかけることにしたのです。
クリアファイルは計4枚。資料を挟み過ぎて、1枚あたり2.5cmほどの厚さになっていました。最初は1枚ずつ内容を確認して処分していましたが、これではキリがありません。ある程度まとめてパラパラと捲り、不要な分はまとめてシュレッダーに投入。
もし、あの資料の間に通帳が挟まっていたとしたら?
鞄に通帳を入れた際、もしかしたら誤ってクリアファイルの中に入ったのかもしれません。付属のクリアケースに入れていたはずですが、何らか原因で外れていたとか?
無心で資料を機械に入れ続けていたため、異変には全く気が付きませんでした。まさか通帳をシュレッダーにかけているなんて。え、そんなことないよね? さすがに気付くよね?
誰かに盗まれたということはないと思います。「絶対にここに置いたはず!」と断言できるのであれば話は別ですが、今回は己の行動を覚えていない私に100%非があるので。今の私に、人を疑う資格はありません。
リビングのソファーの下、車のシートやマットの下も這い蹲って探したものの、見つかったのは埃とゴミ。あと、ずっと探していたボールペンと、友人が落とした目薬。
今はたまたま見つからないだけで、絶対どこかにあるはず。そう自分を信じて、もうしばらく捜索を続けることにしました。今なら怒らないから、素直に出ておいで通帳ちゃん。
先走る気持ち
思考停止状態の私は「通帳を失くした」という事実を一旦なかったことにすると決めました。頭の片隅に失った通帳の姿が過ぎりますが、見つからないものは仕方ありません。人生、諦めも肝心です(※この場合、諦めてはいけません)。
銀行に行くこともなく、暢気にショッピングを満喫していたある日。たまたま立ち寄ったお店で、とある通帳ケースを見つけました。シンプルなデザインに一目惚れした私は、通帳紛失中の分際でそのケースを購入したのです。入れる通帳もないのに。
これからは、このケースに入れて保管しよう! ※通帳紛失中
あっ、ここにカードも入るのか。でも、ここに入れるのはちょっとな~。 ※通帳紛失中
なんかこれ(通帳ケース)に入れるって、意識高いかも!※通帳紛失中
なんと哀れな。
さすがにケースを購入したからには、そろそろ通帳自身とも向き合わなければなりません。
それから数日後、ついに銀行にやってきたヤナガワ。この時点で、通帳紛失が発覚してからなんと2年が経過しています。放置しすぎ。どれだけ探しても見つからないため、やはりシュレッダー説が濃厚だと判断した私は、大人しく再発行を依頼することに決めました。こんな自業自得な状況で、銀行員さんの仕事を増やしてしまい申し訳なかったです。その節は大変お世話になりました。
通帳の再発行には、手数料として1,100円の支払いが必要です。紛失しなければ、私の財布から飛んでいくことはなかったお金。こうなったのは紛れもなく自己責任なので、これは戒めのための1,100円だと思っています。
銀行員さんの丁寧で優しいご対応に心救われながら、窓口での手続きが無事に完了し、後日自宅に再発行された通帳が届きました。
2年ぶりに見る通帳。君はこんな顔をしていたんだね。ああ、愛おしき通帳。もう二度と車で保管するなどという愚行を繰り返さぬよう肝に銘じて、先日購入した通帳ケースに仕舞いました。
突然現れたあいつ
無事に通帳が手元に戻り、いつもの日常が戻ってきました。何をしていても「でも私、今通帳失くしてるしな……」という思いが拭いきれず落ち込むこともありましたが、それももう過去の話。
通帳を失くしていたことなどすっかり忘れて、車内の荷物を漁っていた時のことです。「あのCDどのあたりに置いたかな」と思いながら、助手席の後ろに付いているポケットに手を突っ込んだその瞬間、指先に触れた固い感触。なにこれ、紙?
引っ張り出してみると、なんとそこには失くしたはずの通帳が。
こんなところに!?
あなた、車にいたのね。もう少し早く見つけていれば、再発行しなくて済んだのに。というか、車内を探し回ったあの時、確かにここも見たはずなのに。
見つかった通帳は、座席ポケットの圧力に負け、びろーんと折れ曲がっていました。こんな姿になっちまって……私のせいですけれども。
2年越しの再開はなんとも言えぬ空気となりましたが、無事に見つかってホッとしました。
ちなみに、何故シュレッダーを疑ったのか。それは、過去に年金手帳をシュレッダーにかけてしまった経験があるからです。今回と同じく資料断捨離スペシャル中に事件は起きました。資料と資料の間に挟まっていた年金手帳は、私の知らない間に2mm×12mmサイズの紙きれに。気付いた頃には、すべてが終わっていたのです。
ということで、年金手帳は細かく断裁されたものの、通帳とは再開を果たすことができました。貴重品を杜撰に管理すると、私のようになりますので皆さまはお気を付けください。
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