いつか、両手を広げて自転車に
こんにちは、opsol bookのヤナガワです。
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たくさんのご応募をお待ちしています!
さて、7月1日より、ツール・ド・フランス2023が始まりましたね。私も漫画の影響を受けて、ロードバイクを買おうとしていた時期がありました。その漫画とは、言わずと知れた名作、『弱虫ペダル』です。
ロードバイクを買おうとしていたのは、中学2年生、14歳の頃です。この年頃なら、一つの漫画にのめり込むことも珍しくないですよね。当時のお小遣いでは到底購入できる金額ではありませんが、妄想するだけならタダです。私は日々ロードバイクと共に過ごす生活を妄想し続けました。ちなみに、推しキャラとは関係なく、購入するならビジュアル重視でBianchiのロードバイクと決めていました。
ところが、よく考えてみると、私が最後に自転車に乗ったのは恐らく小学6年生の頃。中学生になってからは、一度も自転車に乗っていないのです。ひょっとすると、この空白の期間を経て、自転車の乗り方を忘れている可能性もあります。妄想だけで終わらせていてよかった……せっかく購入したのに観賞用になるところでした。
あの頃乗っていたのは、キッズ用の自転車で、色は水色を選びました。涼し気な色合いが気に入り、「これがいい!」とおねだりをして手に入れた代物です。Bianchiとはまた異なったカラーではありますが、昔から空色系が好きだったのでしょうか。大人になった今は、推しているアイドルのメンバーカラーが、私の好きな色となっているため、「好きな色は何ですか?」という質問に対する自我はありません。
自転車を乗り回す日々の中、並行してハマっていたのが一輪車です。一輪車に乗って遊ぶために、学校から帰るとすぐに自宅近くの公園へ出かけていました。
子どもの伸びしろは実に無限大で、補助輪なしで自転車に乗れるようになるまでに時間のかかった私が、いつの間にかたった一輪の車輪だけでスイスイ進めるようになるなんて。一緒に自転車に乗る練習をした友人が見たら、ひっくり返るかもしれません。徒競走も持久走も万年最下位だったのに、なぜか当時の私は、一輪車に限り才能を発揮していました。
しかし、一輪車に乗り始めたことで、私の大事な自転車がとある悲劇に見舞われます。
ある日、私は母と一緒に、自転車で自宅近くのスーパーへ向かいました。当時のことは、今でも鮮明に思い出せます。あれは、買い物を済ませ、自宅へ帰る途中のことでした。
母の後ろを走っていた私は、とてもいいことを思いつきました。「一輪車を乗りこなしていることだし、自転車も両手を離して漕げるかも!」と。そう、愚かな私は、自転車のハンドルから手を離すことにしたのです。この時の私は、絶対に転ばないという謎の自信がありました。
運動音痴なのに、一輪車でブイブイ言わせていたことが誇りだったのでしょう(別にブイブイ言わせてはいません)。自分の実力を見誤り、ツール・ド・フランスでよく見るような、両手を大きく広げるポーズをしてみた結果、盛大に転びました。もちろん、この頃はまだロードバイクの存在を知らないため、ツール・ド・フランスを意識していたわけではなく、ただ両手を離して転倒しただけの大馬鹿者なわけですが。手を離してから転倒するまでは、わずか1秒の出来事です。
擦りむいた膝に痛みを感じながら起き上がり、倒れた相棒を見ると、右ハンドルについていたベルが破壊されていました。粉々に割れた部品は、修復不可能であることを意味しています。さっきまで、チリンチリ~ンと高らかに音を奏でていたはずなのに、残っているのは土台とレバーの部分のみ。レバーを動かしてみても、私の耳に届くのは「スカッ」という空振り音だけでした。
自業自得な行いをして娘が転んだことに、前を走る母は全く気付いていないようです。いつか、ベルを壊したことがバレたら怒られるかもしれませんが、その日がもっと先になることを願って、私はゆっくりと母の後に続きました。
この事件以降、ベルが壊れたことを親に言い出せなかった私は、マイ自転車を封印することになったのでした。
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