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連載小説 神霊術少女チェルニ 往復書簡 49通目
レフ・ティルグ・ネイラ様
わたしが成人するまで、あと四年もあるんですけど、ネイラ様……。
すみません。一行書いたところで、ちょっと気が遠くなって、ペンが止まってしまいました。前回の手紙で、わたしに会いたいと書いてもらって、すごくうれしかったです。本当に、ごろごろ転げ回るくらい、うれしかったんですけど……わたし、まだ十四歳です。十八歳の成人までっていうと、あと四年もあるんですけど……?
連載小説 神霊術少女チェルニ 往復書簡 48通目
レフ・ティルグ・ネイラ様
何時間か前、ネイラ様に宛てて書いた手紙を、アマツ様に届けてくださいってお願いしたら、鼻で笑われてしまいました。何の比喩だよ、って思われるかもしれませんが、言葉通りの意味です。真紅の羽根を煌めかせ、朱色の鱗粉をまとった、世にも尊く美しいご神鳥が、本当に鼻で笑ったんです。ふんって、鼻息も荒く……。
あまりにも頻繁に、手紙の配達をお願いしちゃったんで、不敬だったのかもし
連載小説 神霊術少女チェルニ 往復書簡 47通目
レフ・ティルグ・ネイラ様
今日は、ちょっと真剣な質問をしたくて、この手紙を書いています。もしも、聞いちゃいけないことだったり、答えられないものだったりしたら、そういって叱ってくださいね。
それで、何を聞きたいのかというと、〈鬼哭の鏡〉についてです。この前の夜、わたしの家と〈野ばら亭〉を守るために、ヴェル様が鏡の神霊術を使ってくれました。(ヴェル様って、神霊庁の神使様なんですね。何というか、
連載小説 神霊術少女チェルニ 往復書簡 46通目
レフ・ティルグ・ネイラ様
お父さんのキャラメルを喜んでもらえて、わたしもうれしいです。ネイラ様のお母さんが、一日に食べる数を決めちゃった話をしたら、うちのお父さんも、とっても喜んでいました。ブランデーケーキとは別に、キャラメルも定期的にお届けするそうなので、召し上がってくださいね。(お菓子ばっかりで忘れそうになるんですけど、お父さんのパンやお料理だって、ものすごくおいしいんです。本当に、いつか
小説コンテストを開催することにした、駆け出し出版社の話(詳細発表編)
いつもお読みいただいている皆さま、ありがとうございます。
opsol bookのヤナガワです。
noteに「小説コンテストを開催することにした、駆け出し出版社の話(1)」を投稿したのが9月。そこから月日が経ち、あっという間に12月になりました。日ごとに寒さがつのってまいりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて、本日はタイトルにもあるように、ハナショウブ小説賞の詳細を発表いたします。
連載小説 神霊術少女チェルニ 往復書簡 45通目
レフ・ティルグ・ネイラ様
前回のネイラ様の手紙は、かなり衝撃的でした。校長先生が、そんなに有名な人だったっていうのも、驚きといえば驚きでしたけど、〈只者じゃない〉っていうのは、何となく感じてましたからね。わたしが唖然としたのは、むしろ校長先生の年齢の方なんです。
六十代っていったら、そんなにおじいちゃんじゃありませんよね? 高齢者の前期っていうか、高齢者になりかけっていうか、高齢者の新人っ