opsol book

三重県伊勢市にある小さな出版社です。 小説家になろうにて好評連載中の『神霊術少女チェル…

opsol book

三重県伊勢市にある小さな出版社です。 小説家になろうにて好評連載中の『神霊術少女チェルニ』が待望の書籍化、2021年12月24日(金)全国の書店にて発売決定! 既刊『フェオファーン聖譚曲op.Ⅰ』リニューアル版もnoteと小説家になろうにて投稿中です。

マガジン

  • 編集部日記

    編集部ヤナガワが書くあれこれをまとめています。

  • 小説コンテストを開催することにした、駆け出し出版社の話

    opsol book初の小説コンテスト開催が決定しました。 コンテスト名やロゴが決まるまでの道のり、opsol bookの会議の様子などをリアルタイムでお届けします。

  • 神霊術少女チェルニ 小ネタ集

    『小説家になろう』で大好評連載中! 須尾見蓮先生による『神霊術少女チェルニ〈連載版〉』の小ネタ集です。 ※本連載投稿は、『小説家になろう』に連載されているものと同内容です。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ チェルニ本編の物語とご一緒にお楽しみください。

  • 邂逅 ー神霊術少女チェルニ外伝ー

    万物に宿るとされる神霊の力を借り、人知を超える現象を引き起こす〈神霊術〉。千年の安寧を誇るルーラ王国は、国民のほとんどが、何らかの神霊術を使うことから、〈神霊王国〉と呼ばれている。  そんなルーラ王国で、史上最年少で王国騎士団長となった、レフ・ティルグ・ネイラ。彼こそは、千余年の時を経て現れ出でし《神威の覡》に他ならなかったーー。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 〈神霊王国物語〉シリーズ『神霊術少女チェルニ〈連載版〉』の外伝作品です。

  • 神霊術少女チェルニ 往復書簡

    『小説家になろう』で大好評連載中! 須尾見蓮先生による『神霊術少女チェルニ〈連載版〉』の外伝シリーズです。 ※本連載投稿は、『小説家になろう』に連載されているものと同内容です。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 『神霊術少女チェルニ 〈連載版〉』内で文通をしているふたり。 ふたりの間で交わされる手紙を、少しご紹介します。

記事一覧

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-3

 大公家のお姫様だったオディール様の、あまりの早口と勢いに圧倒されて、わたしの家族と総隊長さんは、ちょっと呆然としちゃった。  大公のお屋敷では、相手を怒らせる…

opsol book
1年前

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-2

 わたしが受験する王立学院では、六科目の学科試験の他に、実際に神霊術を使う実技試験がある。学科と実技の合計で、合格者を決めるわけじゃなく、実技はあくまでも〈参考…

opsol book
1年前
1

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-1

 すっかり秋の気配が濃くなって、ひんやり冷たい風が吹き抜ける中、わたしは一人で町立学校に向かって歩いていた。とぼとぼとぼとぼ、とぼとぼとぼとぼ。  われながら、…

opsol book
1年前
1

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-37

 熊みたいな総隊長さんの挑発に乗って、大公騎士団の団長は、四十人もいる騎士たちに抜刀を命じた。キュレルの街のど真ん中で、まだ夜も早い時間なのに!  あまりにも馬…

opsol book
1年前
1

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-36

 ヴェル様が、うちの食堂を出て行くのと入れ違いに、お父さんとお母さんが戻ってきた。〈野ばら亭〉の従業員さんの振りをしている、神職の人たちから、大まかな話を聞かせ…

opsol book
1年前

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-35

 高貴なお姫様に、とんでもない勢いで罵倒されて、応接間にいた人たちは、呆然とした顔で固まっていた。お姫様は、大公に冷たい目を向けてから、黙って空いている長椅子に…

opsol book
1年前
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-3

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-3

 大公家のお姫様だったオディール様の、あまりの早口と勢いに圧倒されて、わたしの家族と総隊長さんは、ちょっと呆然としちゃった。
 大公のお屋敷では、相手を怒らせるために、わざと煽っているのかと思ってたんだけど、お姫様って、普段からこういう人だったの? 悲劇のお姫様っていうイメージが、一気に崩れたのは、いいこと……なんだよね、きっと。
 
 お姫様に寄り添うように、横に座っていたマチアスさんは、すっご

もっとみる
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-2

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-2

 わたしが受験する王立学院では、六科目の学科試験の他に、実際に神霊術を使う実技試験がある。学科と実技の合計で、合格者を決めるわけじゃなく、実技はあくまでも〈参考〉らしいんだけど。
 わたしと文通してくれている、ネイラ様の説明によると、勉強は得意ではないけど、神霊術に素晴らしい才能を持っている生徒のために、実技が組まれているんだって。ルーラ王国で最高の教育機関である王立学院が、神霊術の才能を見逃すっ

もっとみる
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-1

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 3-1

 すっかり秋の気配が濃くなって、ひんやり冷たい風が吹き抜ける中、わたしは一人で町立学校に向かって歩いていた。とぼとぼとぼとぼ、とぼとぼとぼとぼ。
 われながら、元気のない足取りになるのは、仕方のないことだと思う。だって、十四歳のわたし、チェルニ・カペラは、今、大きな悩みを抱えているんだから。
 
 キュレルの街の守備隊分隊長のフェルトさんと、わたしの大好きなアリアナお姉ちゃんをめぐる事件は、一応、

もっとみる
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-37

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-37

 熊みたいな総隊長さんの挑発に乗って、大公騎士団の団長は、四十人もいる騎士たちに抜刀を命じた。キュレルの街のど真ん中で、まだ夜も早い時間なのに!
 あまりにも馬鹿だから、わたしの口がパカンと開いちゃったんだけど、お母さんにいわせると、必ずしも馬鹿だとはいえないんだって。
 
「わたしたちは、ネイラ様のご助力や、神霊様のご加護があるから、気持ちを強くしていられるのよ。王族である大公の権力は強いから、

もっとみる
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-36

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-36

 ヴェル様が、うちの食堂を出て行くのと入れ違いに、お父さんとお母さんが戻ってきた。〈野ばら亭〉の従業員さんの振りをしている、神職の人たちから、大まかな話を聞かせてもらったんだって。
 わたしの大好きなお母さんは、エメラルドみたいに澄み切った緑の瞳を、好奇心できらきら輝かせながら、満面の笑顔だった。
 
「オルソン子爵閣下から、ご伝言をいただいたの。いよいよ作戦の大詰めだから、〈捕縛の瞬間は、ご両親

もっとみる
連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-35

連載小説 神霊術少女チェルニ〈連載版〉 2-35

 高貴なお姫様に、とんでもない勢いで罵倒されて、応接間にいた人たちは、呆然とした顔で固まっていた。お姫様は、大公に冷たい目を向けてから、黙って空いている長椅子に腰かけた。優雅で上品で、まるで自分の家みたいに自然な動作だった。
 
 呆然としていた大公は、自分が何をいわれたのか、だんだんと理解してきたんだろう。真っ赤になったかと思うと、青白くなり、最後には墓石みたいな顔色になった。人間って、あんまり

もっとみる