フェオファーン聖譚曲op.Ⅰ 5-6
05 ハイムリヒ 運命は囁く6 痛み
召喚魔術の失敗によって、|叡智の塔を揺るがす大惨事を引き起こして以来、ダニエはパーヴェル伯爵邸に引き籠っていた。聖紫石諸共に捥ぎ取られた右腕は、直ぐに止血と治療を施されたものの、傷口を平らにする為に再度切断しなくてはならず、ダニエの苦痛は大きかった。四散して命を落としたゲーナを思えば、腕一本の犠牲で助かった幸運を喜ぶべきだったとしても、何日も激痛と発熱に苛まれたダニエには、そう考えるだけの余裕など有りはしなかった。部下の魔術師達に、繰